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はなくて、自分達自身もボランティアが出来る生産者の立場として、社会に貢献出来るわけです。
例えばマイアミではダウン症の子ども達がお年寄りのためにお花を作って、特別養護老人ホームにお持ちして、お年寄りの心を和ませたり、車椅子の人達が電話サービスをしたりしています。今までは依存者と思われた人達からそれぞれの才能を「貴方は何が出来ますか」と引き出して上げる事によって、限りないいろいろなボランティアのプログラムを作る事が出来ます。
何故、このボランティアが与えたり受けたりの双方向にならないといけないかと言いますと、私の銀行勤務の経験から、お金が動かないことには世の中は活性化しません。そういう理由で、今まで受けていただけの人もボランティアになれるし、ボランティアを一方的にしていた人達も受けるという事が大切だと思います。
マイアミの場合は、先程申しました病院でのタイムダラーやいろいろなグループを全部合わせますと、63のグループがあります。ボランティアの総数は約7000人位ですが、その中でサービスを受けたり与えたりする会員が約3500人、後の約300人はボランティアをした時間を全て寄付をする人。約1200人は利用だけの人、それから約1900人がボランティアをした時間を預託しております。
このサービスで1ヶ月に1万2000時間がやり取りされております。これは行政が専門家のホームヘルパーなどを使いますと、大体1時間に20ドル〜27ドルかかりますが、タイムダラーでは1時間に39セント〜40セントで提供出来ますので、行政にとっての予算もかなり少なくてすみます。
私達がこのように行政の隙間を埋めていく事によって、行政はもっと必要な仕事、もっと必要なサービス、そして1人ひとりのニーズに合った仕事をどんどん提供していくことが可能になります。
●未来に向かって生きるために
タイムダラーでどんな仕事をしているかを紹介します。まず翻訳、話相手、テレホンサービス、家庭教師(子ども連の間での家庭教師もあります)、子守、庭の手入れ、ペットの世話、裁縫の世話、ユースクラブの運営、買物、食事サービス、食事の配達等々たくさんあります。またそれだけではなくて、ニーズに合わせてフレキシブルに対応出来るようにしております。
未来に向かってお互いがパートナーシップを組んで準備をしないといけません。私達はあと4年で新しい世紀を迎えますが、今、身繕いの時だと思います。
世の中は今どんどん変わってきております。昔の伝統だけに頼っていては、21世紀に向かって新しい時を迎える準備は出来ません。どうぞ行政、企業、それから地域のお1人おひとりの市民の方が愛情を持ってパートナーとしてご一緒に21世紀を迎えられますよう、心から祈っております。ありがとうございました。
司会 ありがとうございました。私達がボランティア活動を進める上で、大変参考になるお話でした。アナさんには後程、シンポジウムの感想を述べて頂きます。

 

 

 

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